Archive for the ‘相続’ Category

特別寄与料の請求について

2019-11-11

例えば、親が亡くなり子どもが相続人の場合、子どもの配偶者は親の相続人ではないので、親の遺産を相続する権利がないのが原則です。しかし、子どもの配偶者などが被相続人の療養看護に努めるなどの貢献を行った場合には一定の財産を分け与えることが被相続人の推定的意思に合致する場合も多いと考えられます。そこで、改正相続法は、相続人ではない被相続人の親族が、相続人に対して、その貢献に応じた額の金銭(特別寄与料)の支払を請求することができるとする制度を新設し、相続人でない者が遺産の分配を受けることができないという不公平を解消させることとしました。この規定は令和元年7月1日から施行されていますが、施行日前に開始した相続については改正前の法律が適用されます。
特別寄与料を請求できる者は被相続人の親族(六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族)です。内縁の配偶者や同性のパートナーなどは含まれません。

特別寄与料を請求するためには、被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をしたと認められることが必要です。請求者が被相続人から介護の対価を受け取っていた場合は「無償」という要件を満たさないので、特別寄与料は請求できません。
そして、権利行使期間についてですが、当事者間で協議が調わない場合、①特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6か月以内、又は②相続開始の時から1年以内に家庭裁判所に調停・審判の申立をする必要があります。この期間制限は割と早いので注意が必要です。

家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して特別寄与料の額を定めます。算定の目安については従来の寄与分における算定方法が参考になりますが、寄与分における療養看護型の場合、被相続人が要介護度2以上の状態にあることが一つの目安になるとされています。そして、相続人は介護の専門家ではないこと等の事情を考慮し、裁量割合として通常は0.5~0.8程度を乗じて減額されています。特別寄与料の場合も、基本的にはこの裁量割合の幅の範囲で個別具体的な事情を考慮して算定されるものと思われます。

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遺留分の放棄について

2019-07-31

遺留分とは、一定の相続人のために、相続に際して法律上取得することが保障されている遺産の一定割合のことをいい、遺族の生活保障といった観点から認められています。遺留分権利者は、兄弟姉妹を除く法定相続人(配偶者・子・直系尊属)です。
他方、この遺留分は放棄することもできます。相続が発生した後においては、遺留分を放棄することは自由です。これに対して、相続開始前に遺留分を放棄するには家庭裁判所の許可が必要です。家庭裁判所の許可を得るためには、遺留分権を有する相続人が、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に対して、遺留分放棄の許可審判申立てをします。

家庭裁判所の許可基準としては、①遺留分権利者の自由意思に基づくこと、②放棄理由の合理性・必要性・代償性が挙げられており、事案に応じた判断になります。
なお、司法統計によると、全家庭裁判所における遺留分放棄の許可審判申立てについて、
・平成27年度は、既済総数1152件のうちの1076件が認容
・平成26年度は、既済総数1193件のうちの1135件が認容
となっており、9割以上が認容となっています。

遺留分放棄許可の審判があると、申立てをした相続人の遺留分権はなくなります。しかし、相続人でなくなったわけではありません。被相続人としては自己の財産を自由に処分できるようにしておくのが目的でしょうから、別途遺言書を作成して自己の財産の処分について取り決めておく必要があります。
また、遺留分を放棄したからといって債務が承継されないことにはならないので、仮に債務を承継したくない場合は、相続放棄の手続を取る必要があります。
遺留分放棄の許可審判申立てをする場合、許可基準に合致する事実関係を拾い上げて申立書に反映させていく必要があります。遺留分放棄について検討されている方は、お気軽に当事務所までご相談ください。

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相続分はどのくらい?

2019-07-23

 遺産分割を行うためには、相続人間で遺産をどのような割合で分割するか(相続分)が決まっていなければなりません。相続分について被相続人が遺言で何ら意思を表明していなかった場合のために、民法は、以下のとおり相続分を定めています(法定相続分)。

1 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1
2 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は3分の2、直系尊属の相続分は3分の1
3 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は4分の3、兄弟姉妹の相続分は4分の1

    従前、嫡出でない子の相続分は嫡出子の相続分の2分の1と定められていましたが(民法900条4号ただし書)、平成25年9月4日の最高裁決定により同規定は憲法14条1項(法の下の平等)に違反していると判断されました。これにより、最高裁決定の翌日である平成25年9月5日以後に開始した相続については、嫡出でない子と嫡出子の相続分は同等のものとして扱われます。
    なお、最高裁は、従前の規定は遅くとも平成13年7月当時において憲法14条1項に違反していたと判示しましたが、この違憲判断は、平成13年7月1日から平成25年9月4日までに相続が開始した他の事案につき、従前の規定を前提としてされた遺産分割の審判その他の裁判、遺産分割協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではない旨判示しています。したがいまして、そのように確定的なものとなった事案については、最高裁決定によっても効力は覆りません。

 また、昭和55年改正前の民法では、上記1については子の相続分は3分の2、配偶者の相続分は3分の1、上記2については配偶者と直系尊属の相続分は各2分の1、上記3については配偶者の相続分は3分の2、兄弟姉妹の相続分は3分の1とされており、現在の規定とは異なっておりました。この民法改正は、配偶者の地位の強化という観点から行われたものです。
 この民法改正は昭和56年1月1日から施行されましたので、昭和55年12月31日以前の相続については旧法が適用されます。被相続人の死亡が昭和55年12月31日以前の遺産分割事件は現在でもあり得ますので(遺産分割が長年放置されていた場合)、この場合、法定相続分には留意する必要があります。

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相続が開始したら誰が相続人になるかを確認する

2019-07-15

ある人が亡くなり相続が発生した場合(亡くなった人のことを「被相続人」といいます)、まず誰が相続人になるかを確認する必要があります。民法は、以下の者が相続人になるとしています。

・被相続人の子(第1順位)
・被相続人の直系尊属(第2順位)
・被相続人の兄弟姉妹(第3順位)
・被相続人の配偶者

順番に見ていきましょう。

まず、被相続人の子は第1順位の相続人となります。被相続人の子が相続の開始前に死亡していた場合は、その者の子が相続人となります(代襲相続)。つまり、孫が相続人になるということです。孫も死亡していた場合は曾孫が相続人になる(再代襲相続)というように、繰り返し代襲相続が行われることになります。

被相続人に子(子が死亡している場合は孫など)がいない場合は、被相続人の直系尊属が第2順位の相続人になります。被相続人の父母、祖父母、曾祖父母が直系尊属に該当します。
直系尊属全員が相続人になるわけではなく、親等の近い者だけが相続人となります。つまり、父母、祖父母、曾祖父母のいずれもが生存しているときは父母だけが共同相続人となります。祖父母は父母の双方が死亡しているときにはじめて相続人となります。
相続開始時に母が生存、父が死亡、しかし亡父の父母は生存しているという場合は、被相続人に親等の近い母のみが相続人となります。

第1順位、第2順位の相続人がいない場合は、被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。
兄弟姉妹の場合も代襲相続が認められています。即ち、兄弟姉妹が相続開始以前に死亡していた場合は、その者の子が代襲相続人となります。つまり甥・姪が相続人になるということです。しかし、子の代襲相続と異なり再代襲相続は認められていないので、甥・姪の子は相続人とはなりません。
かつては兄弟姉妹の再代襲も認められていましたが、相続人が50人を超える例も生じたといわれており、相続を巡る法律関係が極めて複雑化するため昭和55年に改正されました。

そして、被相続人の配偶者は常に相続人となります。第1順位から第3順位までのいずれかの相続人がいる場合は、これらの相続人と共に共同相続人となります。

相続においては、相続欠格、廃除、相続放棄が生じた場合なども誰が相続人になるかを検討する必要があります。誰が相続人になるかは個別のケースに応じて異なってきますので、詳しくはお気軽にご相談ください。

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相続法改正~遺産分割前でも預金を引き出せるようになります

2019-06-29

従前から金融機関は二重払いのリスクを回避するため、被相続人の預貯金の払戻に相続人全員の署名押印を求めておりました。また、近時の最高裁判決により、相続された預貯金は遺産分割の対象となり、遺産分割が終了するまでの間は相続人全員の同意がない限り、相続人単独での払戻はできないとされました。しかし、被相続人の遺産なのにそこから被相続人のために葬儀費用を出すことすらできず、相続人は不便を強いられていました。
そこで、相続人の資金需要に対応できるよう、今般の相続法改正により2つの制度が設けられました。一つは、預貯金の一定割合については家庭裁判所の判断を経なくても金融機関の窓口における支払を受けられるようにしたこと、もう一つは、家庭裁判所の仮分割の仮処分の要件を緩和したこと、です。ですが、後者の仮処分についてはわざわざ家庭裁判所に申立てをしなければならないなど手間がかかります。ですので、本ページでは前者の制度についてご説明します。

預貯金の一定割合の支払を受けられる額については、相続開始時の預貯金額の3分の1に当該共同相続人の法定相続分を乗じた額と定められ、同額について各相続人が単独で払戻請求をすることが可能になりました。ただし、同一の金融機関に対する権利行使は、その金融機関に複数の口座があったとしても150万円が限度とされました。これは裁判所の判断を経ずに払戻を認めるものであるため上限を設ける必要があること、上限を設けないと他の共同相続人の利益を害する程度が大きくなることなどが理由とされています。

本制度の施行は令和元年7月1日からです。同日前に相続が発生している場合でも、同日以後であれば本制度の利用が可能です。
金融機関に提出する書類については特に定められていませんが、被相続人が死亡したことや相続人の範囲、法定相続分が分かる資料がないと金融機関が判断できませんので、それらが分かる戸籍謄本は最低限必要になるでしょう。あとは請求者の印鑑登録証明書なども必要になるのではないかと思われます。金融機関もまだ手続に慣れていないと思いますので、必要書類などを事前に問い合わせるなどして余裕をもって行動するようにしましょう。

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