Archive for the ‘相続’ Category

相続が開始したら誰が相続人になるかを確認する

2019-07-15

ある人が亡くなり相続が発生した場合(亡くなった人のことを「被相続人」といいます)、まず誰が相続人になるかを確認する必要があります。民法は、以下の者が相続人になるとしています。

・被相続人の子(第1順位)
・被相続人の直系尊属(第2順位)
・被相続人の兄弟姉妹(第3順位)
・被相続人の配偶者

順番に見ていきましょう。

まず、被相続人の子は第1順位の相続人となります。被相続人の子が相続の開始前に死亡していた場合は、その者の子が相続人となります(代襲相続)。つまり、孫が相続人になるということです。孫も死亡していた場合は曾孫が相続人になる(再代襲相続)というように、繰り返し代襲相続が行われることになります。

被相続人に子(子が死亡している場合は孫など)がいない場合は、被相続人の直系尊属が第2順位の相続人になります。被相続人の父母、祖父母、曾祖父母が直系尊属に該当します。
直系尊属全員が相続人になるわけではなく、親等の近い者だけが相続人となります。つまり、父母、祖父母、曾祖父母のいずれもが生存しているときは父母だけが共同相続人となります。祖父母は父母の双方が死亡しているときにはじめて相続人となります。
相続開始時に母が生存、父が死亡、しかし亡父の父母は生存しているという場合は、被相続人に親等の近い母のみが相続人となります。

第1順位、第2順位の相続人がいない場合は、被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。
兄弟姉妹の場合も代襲相続が認められています。即ち、兄弟姉妹が相続開始以前に死亡していた場合は、その者の子が代襲相続人となります。つまり甥・姪が相続人になるということです。しかし、子の代襲相続と異なり再代襲相続は認められていないので、甥・姪の子は相続人とはなりません。
かつては兄弟姉妹の再代襲も認められていましたが、相続人が50人を超える例も生じたといわれており、相続を巡る法律関係が極めて複雑化するため昭和55年に改正されました。

そして、被相続人の配偶者は常に相続人となります。第1順位から第3順位までのいずれかの相続人がいる場合は、これらの相続人と共に共同相続人となります。

相続においては、相続欠格、廃除、相続放棄が生じた場合なども誰が相続人になるかを検討する必要があります。誰が相続人になるかは個別のケースに応じて異なってきますので、詳しくはお気軽にご相談ください。

文京区・千代田区の遺言・相続 法律相談 小野貴朗総合法律事務所

相続法改正~遺産分割前でも預金を引き出せるようになります

2019-06-29

従前から金融機関は二重払いのリスクを回避するため、被相続人の預貯金の払戻に相続人全員の署名押印を求めておりました。また、近時の最高裁判決により、相続された預貯金は遺産分割の対象となり、遺産分割が終了するまでの間は相続人全員の同意がない限り、相続人単独での払戻はできないとされました。しかし、被相続人の遺産なのにそこから被相続人のために葬儀費用を出すことすらできず、相続人は不便を強いられていました。
そこで、相続人の資金需要に対応できるよう、今般の相続法改正により2つの制度が設けられました。一つは、預貯金の一定割合については家庭裁判所の判断を経なくても金融機関の窓口における支払を受けられるようにしたこと、もう一つは、家庭裁判所の仮分割の仮処分の要件を緩和したこと、です。ですが、後者の仮処分についてはわざわざ家庭裁判所に申立てをしなければならないなど手間がかかります。ですので、本ページでは前者の制度についてご説明します。

預貯金の一定割合の支払を受けられる額については、相続開始時の預貯金額の3分の1に当該共同相続人の法定相続分を乗じた額と定められ、同額について各相続人が単独で払戻請求をすることが可能になりました。ただし、同一の金融機関に対する権利行使は、その金融機関に複数の口座があったとしても150万円が限度とされました。これは裁判所の判断を経ずに払戻を認めるものであるため上限を設ける必要があること、上限を設けないと他の共同相続人の利益を害する程度が大きくなることなどが理由とされています。

本制度の施行は令和元年7月1日からです。同日前に相続が発生している場合でも、同日以後であれば本制度の利用が可能です。
金融機関に提出する書類については特に定められていませんが、被相続人が死亡したことや相続人の範囲、法定相続分が分かる資料がないと金融機関が判断できませんので、それらが分かる戸籍謄本は最低限必要になるでしょう。あとは請求者の印鑑登録証明書なども必要になるのではないかと思われます。金融機関もまだ手続に慣れていないと思いますので、必要書類などを事前に問い合わせるなどして余裕をもって行動するようにしましょう。

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