2025年問題がネット等で話題になっております。これはいわゆる団塊世代(1947~1949年生まれの世代・合計出生数が約800万人)が2025年までに後期高齢者(75歳以上)となるため、医療、介護、年金等の様々な分野で問題が生じることをいいます。
この2025年問題は、相続においても影響を及ぼすと考えられております。高齢者が増加することにより相続の発生が増加することも予想され、それに伴い遺産分割の対応が必要になってきます。相続税の基礎控除額が下がりましたので、相続税対策を検討するご家庭も増加すると考えられます。
亡くなった高齢者に相続人がいない場合は、所謂空家問題が発生することも考えられますし、子どもがいない夫婦の一方が亡くなった場合は、亡くなった人の兄弟姉妹との相続問題が発生する場合もあります。縁の遠い兄弟姉妹やその子が当事者となることで話し合いが円滑にいかない場合も生じております。兄弟姉妹の相続の場合は相続人の人数が増える場合があり、場合によっては相続人の数が二桁に及ぶこともあります。そうなると任意の話し合いで協議をまとめるのは難しくなってきます。
ただ、兄弟姉妹の相続の場合は、生前に遺言書を作成しておくことで、兄弟姉妹に相続させないようにすることができます。後に残される配偶者に苦労をかけないようにしておくのも夫婦の役割と言えるでしょう。あの時遺言書を書いておいてもらえればと亡くなった後に後悔しても手遅れですので、ご自身が亡くなった後のことをどうしたいかを遺言書に残しておくことをお勧めします。
また、遺言書を書いておくことで、残された相続人が遺産を把握するのが容易になります。一人暮らしをしていた人が亡くなった場合、残された相続人は自宅のタンスなどを開けて預金通帳などがないかを探すことになりますが、最近ではネット銀行もありますので、その場合は預金通帳が出てこないこともあります。そうするとせっかく銀行に預金があるのに発見できないまま見逃されてしまうということも考えられます。
ですので、ご自身の遺産をしっかりと相続人に承継させるためにも、どこにどのような財産があるのかを遺言書に残しておくことが必要です。遺言書を公正証書にしておけば、相続発生後に相続人が公証役場で検索することもできるので、遺言書を見つけてくれることも期待できます。
おひとり様の場合は亡くなった後に葬儀の手配や自宅の後処理等をしてくれる人を確保することも必要でしょう。亡くなった後に自宅の後処理をする人がいないと空家問題が発生し、近隣に迷惑がかかってしまいます。先祖代々のお墓を管理しているようであれば墓じまいを考えることも必要でしょう。
このように相続においても様々な問題が発生することが予想されておりますので、後でトラブルにならないよう事前に各種専門家に相談するのが得策といえるでしょう。弊所では、税理士、司法書士等の隣接士業とのネットワークがございますので、ご自身の家庭で思い当たる点があるようであれば、早めにご相談ください。