民法968条1項は、「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」と規定されています。この文言を厳格に考えると、遺言書を書いた日と異なる日付が遺言書に書かれていた場合、遺言書が無効となるはずです。
しかし、同条の趣旨は、遺言者の真意を確保すること等にあるところ、必要以上に遺言の方式を厳格に解すると、かえって遺言者の真意の実現を阻害するおそれがあります。
かような趣旨に基づき、近時の最高裁判例において、遺言者が入院中の平成27年4月13日に遺言の全文、同日の日付及び氏名を自書し、退院して9日後の同年5月10日に押印したといった事実関係の下では、遺言書に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているからといって直ちに遺言が無効となるものではない旨判示したものがあります(最高裁令和3年1月18日判決)。
もちろん遺言書を書いた日の日付を書くのがベストであり、民法968条1項の文言に沿った遺言書となります。ただ、一定の事実関係の下においては、遺言が成立した日と異なる日付でも有効となる余地があるということですので、もし遺言書を書いた日と異なっている日付の遺言書が出てきたとしても諦める必要はなさそうです。もちろん事案によって異なる判断となりますので、もし日付の記載に疑義があるような遺言書が出てきたときは、弁護士に相談することをお勧めします。
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