遺産相続をするときには、大きく分けて「遺言」による方法と「遺産分割」による方法があります。また遺産分割手続きにも「協議」「調停」「審判」の種類があります。
以下で、それぞれの遺産相続方法について、弁護士が解説します。
1.遺言による遺産相続方法
遺言にもとづく遺産相続は、被相続人が「遺言書」を書き残していた場合に行われます。
有効な遺言書は法定相続に優先するので、遺言書があれば基本的にはその内容通りに遺産相続を進めます。ただし相続人全員が合意すれば、遺言内容と異なる方法による遺産分割も可能です。
自筆証書遺言や秘密証書遺言などの場合には、開封前に家庭裁判所で検認を受ける必要があります。
2.遺産分割協議による方法
遺言書がない場合、まずは遺産分割協議による遺産分割を目指します。遺産分割協議には、法定相続人が全員参加しなければならないので、正確な相続人調査が前提となります。
遺産分割協議では裁判所を通さないので、当事者に都合の良い方法で話を進められます。実際にどこかに集まっても良いですし、メールや電話、FAXなどの通信手段の利用もできます。全員が合意できたら「遺産分割協議書」を作成します。
3.遺産分割調停による方法
遺産分割調停は、家庭裁判所で調停委員を介して話し合いをする遺産分割方法です。調停は月1回程度開かれるので、相続人全員がその都度家庭裁判所に行く必要があります。
調停委員が間に入るので、もめている相手と直接話をする必要がありません。調停が成立すると裁判所で調停調書が作成され、各種の相続手続きを行います。なお、遺産の範囲など遺産分割の前提問題に争いがある場合などは、先に訴訟手続において当該問題を解決する必要があります。
4.遺産分割審判による方法
遺産分割調停が不成立になると、手続きは「遺産分割審判」に移行します。審判では、提出された資料などをもとに審判官が遺産分割の方法を決定します。その際、当事者が希望しない結果となる可能性もあります。
審判が出ると「審判書」が作成され、当事者宛てに郵送されます。審判書によって不動産の名義変更等の相続手続きを進められます。
遺産分割でトラブルになったら、調停、審判が長びいて数年経っても解決できないケースもあります。対応に迷われたときには、お早めに弁護士までご相談下さい。